千と千尋の神隠しは面白かったのか?


半端じゃなく時期を外したタイトルですが、今回のお題はこれです。
良いんです。思い出したんだから。



私、小学生の頃「風の谷のナウシカ」のマンガに出合って以来のファンですねぇ。
マニアさんには遠く及びませんが、関連した作品なんかも読んだりして。


んで、表題のこの作品なんですが、どうなんでしょ?
各地で絶賛されてましたが、皆さんも同意見ですか?


宮崎さんの作品の特徴は一言で言って「お説教」だと思うのです。
形は「警鐘」であったり、「ノスタルジー」であったりしますが、
何がしかの現代に通じる問題点を軸に、登場人物たちが戦ったり生活したりし、
幾つかの救いを得て物語が終わる。
基本的にこの形を取っています。


この問題点はナウシカにおいては「失われた古代文明によって汚染された地球と、
そこで醜い争いを続ける人間」であり、ラピュタにおいては「自然の力を利用した
古代文明を利己的に利用しようとする人々」でした。
また、トトロでも「都会の喧騒から離れて癒しを得る家族」が描かれていますし、
紅の豚はこれに反戦のメッセージも込められた物です。
全てに共通して見て取れるのは「文明」と「現代社会に見られる利益を追求する人間の
姿勢」に対する疑問です。


これらの問題点を、民話の世界を舞台に中世世界が成熟する過程で得たもの・
失ったものという形で結実させたのが「もののけ姫」と言って良いでしょう。



で、その次の作品の「千と千尋の神隠し」です。
これは一人の女の子が、一人ぽっちで何かを成し遂げる事で成長する物語です。
現在の日本社会に蔓延する「幼児性」を問題にしているといって良いでしょう。
魔女の宅急便」も同じ形式ですね。


別にテーマのスケールが云々するつもりはありません。
私が一番いやだったのは、これが現代の女の子がわざわざファンタジーの世界へ
放り込まれる事です。


宮崎さんの作品は殆どがファンタジーもしくは中世の世界です。(紅の豚は2次大戦
直前の話ですが、主人公を豚にする事でカリカチュアライズしてありますね)
どこか知らない世界での出来事を、現代社会の抱える問題のメタファーとする事で
問題提起・解決を提示してきたわけです。


これに対して「千と千尋の神隠し」では、現代の女の子が有り得ない世界へ迷い込み、
そこでいろいろな事を学んで(教育され!)、更に現代へ帰ってくるお話。


せ・・・、説教くせぇ・・・。
物凄く直接的に説教くせぇ・・・。


劇中で行われるお説教に関して異論があるわけではありません。
ただ、これはエンターテインメントなのか?と感じずにはいられません。


私の周りの人間も殆どが「面白かった」・「良かった」との好意的な評価です。
エンターテインメント性を持たせる要素は含んでいますので、兎に角つまらない
とは思わないものの、私は見終えた後何だか嫌な気分になりましたねぇ。


ここを訪れる皆さんは、どんな気分で見たのでしょうか。
興味津々ですねぇ。。