残響じゃない

7年半振りにドラムキットに座った。
誰かが「自転車漕ぐのと一緒でしょ?」なんて言ってたけどそう遠からじで、手足が全然動かないなんて事は無かった。


無論音合せもリハも無しなんで演奏はグダグダの極地だったけど、久しぶりに叩く太鼓はやっぱり気持良かったし、そもそも久しぶりに集まった私達に良く出来た演奏なんて皆望んでなかった。私もそれは理解していたし、イベントの為にも気持ちが一番大事なんだということは分かっていた。


だけどやり残した感が物凄く大きく私の中にのしかかっている。
皆「これを一つの区切りにして前に進もう」といった事を話していたし、表情にもある種のやり切った感が溢れていた。私はそういう気持ちになれなかった。
不完全燃焼で駄目だった、なんて話をしていたらベースの奴に偉く怒られた。そもそもそんな事を望まれてた訳じゃないんだから、お前がそんな事言ってるのは自己満足だ、と。
言ってる事はよく判る。でもどうしても納得いかなかった。だって俺彼女にちゃんと届けられた気がしないんだもん。皆は久しぶりの私達を見て満足してくれたのかもしれない。でも自分自身がそれに見合う事が出来なかった。
勿論ずっと現役でやってる人達と比較して云々なんて不遜な事は考えてない。それでも、観てくれている人達に、今の自分の目一杯の気持ちをぶつけられなかった。勿論これは自己満足なんだけど、でもきっと出演者・参加者全ての人が目一杯の気持ちをぶつける、その為のイベントでもあった筈なのに私はそれが出来なかった。
と言う訳で、私は未だに気持ちの整理がつかない。


だからまた音を鳴らそうと思う。昔のような活動は出来ないけど時々でもいいから、自分が彼女に捧げられる音を探したいと思う。
そういう音楽もあると思うし、彼女は色々な音楽の形を表現する場が好きで、その場を作る為に目一杯生きた人だから、「バカやねぇ」と笑ってくれると思う。