不思議な話

良質ホラーを引き当てられなかった腹いせに、
私の経験した話でもしてみましょうかねぇ。


まだ私が学生だったころの話です。
その日は、中学時代からの友人と特に何という事も無く
遊ぶ約束になっていました。
友人は彼の学校の女友達3人を乗せて車で迎えに来て、
どこという宛ても無く、ドライブする事に。


あちこちをうろついた後で、私たちが辿り着いたのは、
福岡の隣県のS県にあるK山。
日中は山頂近くにある公園から海が一望でき、夜は
DQNな走り屋さん達が集まった名所ですが、平日深夜と
言う事もあり、人っ子一人いません。
公園の駐車場も、サッカーコート1.5面程の広さに車は
一台も無し。


私達は駐車場に車を停めて車を降りた後、何とは無しに
怪談を始めました。話の内容は他愛も無いものです。
どこかで聞いたことのある様な怪談話。
それでも怖がりの女の子もいる為、その場はそこそこの
盛り上がり(?)を見せていました。



暫く経った頃、何か変だとふと感じました。
周囲に注意を払うと、違和感の原因が判りました。


私たちの周りで音が鳴っています。
『カツーン』というか『カチーン』というか。
何か硬い物を打ち合わせた様な音がしています。
それも気付いてみると、1m間隔程度で、私たちの周りを
ぐるぐる回っています。


広い駐車場の真ん中で、車座に座っている私たち5人。
その外側2m位の距離で、ずっと回り続ける異音。


オカルト系の話題は大好きな私ですが、他のメンバーが
気になり、『そろそろ帰ろうか〜』と声をかけました。
と、普段は怖がりの友人が、女の子達の前だからか、
『何だよ。お前怖くなったんじゃないの?』なんて言って
からかって来ます。


『お前、この音聞こえないの?』

『さっきからずっと俺等の周りを回ってるんだけど・・・』


固まる4人。
と、音は私の右前方で止まりました。
その直後、


私はすぐ目の前から走り去る、男性の後姿が見えました。
隣に座っていた女の子も『あ・・・。』と一言。
『見えた?』『見えた・・・。』



怖がりの友人の運転で、大慌てで帰りました。
得がたい体験をした、と喜ぶ私以外は表情が固まっています。
おまけに慌てた友人が、帰り道を間違った為、山中に迷い込み
泣き出す子も出る始末。
いやぁ、大笑いしましたねぇ。


男性の影が見えた見えないは、幻覚かもしれないのでさておき、
5人全員が聞いたあの音は何だったのでしょう。
未だにそれを知りたくて仕方の無い私がいます。


科学を信仰しているわけではありませんが、TVの心霊番組等は
科学で解明できるものが大半です。
誰か、私の聞いたあの音も、解明してくれないかなぁ。